紅茶を点てて27年になりますが、基本的には茶葉と湯があれば紅茶は点てられます。とは言っても、濃く出しすぎたとか、薄すぎたとかいろいろになってしまいますよね。
皆さんはみそ汁を作ったことがあると思います。適当に味噌を入れたら濃すぎたとか薄すぎたとか──。その時はお湯を入れたり、味噌を入れたりして好みの濃さに調節をする。これは当たり前のことですが、紅茶も同じ考え方です。要するに自分の好きなようにして楽しめばよいのです。
しかし紅茶の場合、湯や茶葉をつぎ足したりすることは出来ません。それでは、2度と同じ間違えをしたくない!!と思うなら次のことをチェックしてみてください。
まず茶葉をどのくらい入れたかを覚えておくことです、これが判らないと次回どのくらいさじ加減して良いものやらさっぱり判らなくなってしまいます。茶葉を計るスプーンはいつも同じものを、又専用のティーメジャーを使うと便利です。
そして、同じティーポットを使って点ててみることです。いろいろな道具を持ち出すとますます判らなくなります。
何回も同じ茶葉を点てていると必ず自分の好みが判ってきますので安心してください。何よりも大事なことは安くて美味しい茶葉を見つけることです。50グラム¥3,000位で販売しているものをよく見かけますが、現地で買い付けしている私にとってそんな法外な価格は考えられません。
1974年より紅茶の直輸入と紅茶専門店を東京神田神保町で開いて28年目になりました。開店当初はコーヒー全盛時代で、紅茶はティーバッグが当たり前で喫茶店でもなおざりな提供しかしなかったのが実情でした。色つき水にお金を払う人は少ないのは当然です。しかし残念ながら街の自動販売機ではこの現象はまだ見受けられます、それはペットボトルや缶入り紅茶として売られています。
皆さんは何故缶入り紅茶は色つき水なの?と思われる方も多いかと思いますがよく考えてください。お茶というのは紅茶に限らず、点てて置いておくと茶の主要成分であるカテキンが結合して濁ります。ペットボトルの紅茶は絶対濁っていません、濁ると売れないと言う理由だけでそのほとんどを取り除いてしまっています。だからこれは「お茶」ではなく色つき水なのです。取り除いたカテキンは水に溶かして「カテキンウォーター」として販売、メーカーは再びそこで儲ける……。
缶入り紅茶を飲む人が紅茶本来の味を追求してる…などとは思っていません。ただその様な人が本来の紅茶を飲んで渋いとか、苦いとか、強いなどと言わないで欲しいのです。
数年前、紅茶の市場調査の為、世界1周してきました。改めて日本の紅茶市場は「狂っている」と感じました。フランスでもイギリスでも自動販売機はほとんど見られません。特にイギリスのデボン地方では、200キロほど車で走っても私が見たところ1台も販売機はありませんでした、もちろん酒の販売機などは皆無でした。
ではイギリス人は紅茶を飲まないか?と言えば皆さん承知のように日本とは比べものにならないくらい消費は盛んです。あまり良質でない紅茶ですが自分たちに合った飲み方で、暮らしの中に取り入れて楽しんでいます。もちろん出先で飲みたい人は水筒のようなものに入れて飲んでいます。
確かに自動販売機は便利ですが、容器の問題やその処理についてももう少し日本人は考えなければならないと思います。